Oリングの基礎知識
Oリングには、「コンパクト」「装着が容易」「種類・サイズが豊富で低価格」などの特徴があります。
ここでは、Oリングが「どこまで圧縮して使用できるのか」「交換の目安や保管方法」といった、取扱い上の注意点をまとめました。
Oリングとは About
Oリング(オーリング/o-ring)とは、「ゴムの輪(リング)」のことです。断面形状が「○」であることから、Oリングと呼ばれます。なお、「□」の場合は角リング、「X」ならXリングと呼ばれます。
Oリングは、流体(気体、液体)をシール(密封)するための部品で、自動車、油空圧機器、家庭用電化製品、半導体機器など、さまざまな分野で使用されます。使用目的に応じて「材質」を、装着箇所に応じて「サイズ」を選定するのが一般的です。
Oリングの特徴 Features
コンパクト
Oリングの取付部の形状および構造は、きわめて簡易に設計でき、機器の小型化、軽量化にもつながります。
装着が容易
Oリングの形状や装着部分は極めて簡略化されており、取付け、取外しが容易にできます。
広範囲に使用可能
適正なゴム材料を選定することで、水、油、空気はもちろん、各種ガスや薬品にも安定した密封性を保ちます。
種類・サイズが豊富、低価格
各種用途に応える材料が規格化されており、サイズも豊富。容易に入手でき、しかも安価です。
Oリングはどこまで圧縮して使用する? Compression
使用条件にもよりますが、Oリングの線径に対して8~30%の圧縮率で使用します。
- 圧縮率(%)
- =
- Oリング線径 − 溝深さOリング線径
- ×
- 100
※運動用途では、圧縮率が大きすぎると摺動抵抗が大きくなり、機器への負担増大やOリングの過大磨耗の原因につながりますので、注意が必要です。
Oリングの交換の目安 Exchange
基本的に、Oリングが「著しく変形しているとき」や、「著しく変質(硬化、軟化、膨潤など)したとき」、また「表面にキズ、クラックが入ったとき」は交換してください。
Oリングの保管方法 Storage
Oリングを保管する場合には、次のことにご注意ください。
- Oリングは直射日光のあたらない場所に保管してください。(紫外線と熱がゴムの劣化を早めます)
- 風通しが少なく湿度の低い場所で、湿気やカビなどを避けてOリングを保管してください。
- Oリングは冷暗所に置いてください。
- 高温の熱源に近いところにはOリングを置かないでください。(熱によるゴムの劣化を早めます)
- フック、針金などに引っ掛けたり、ひもに通りしてぶら下げたりしてOリングを保管するのは絶対に避けてください。Oリングに応力がかからないように保管してください。
- Oリングは包装を完全に行ってください。(ごみが付着したりキズがついたりするおそれがあります)
Oリングの取扱い上の注意点 Important Point
- Oリングを装着するときにシャープエッジやネジ山などによりキズがつかないよう注意し、必要に応じて治具を用いて取り付けてください。
- ピストンをシリンダーに挿入するときには、小孔のエッジでOリングをキズつけてしまうことがあります。
- Oリングを装着するとき、ねじれないように装着してください。
- Oリングとみぞに十分なグリースまたはシール対象液体を塗布すると、Oリングを装着しやすくなります。
- Oリングの再使用は原則としてしないでください。
- Oリングを洗浄液などで洗浄する場合、洗浄液とOリングの材料との相性を確認のうえ行ってください。
- 材料によっては燃焼により有害ガスを発生するものがあります。Oリングの焼却処分はしないでください。
- 食品衛生法に適合していない材料を食品用途には使用しないでください。